收藏

ルイヴィトンポルトフォイユサラエトワール編集

「まだ金を分配してないわけね?」 「ホトボリが冷めるまで待たなくては……分け前を渡してしまうと、たちまち警察や野崎組に目をつけられるから……派手に分け前の金を使う馬鹿が出てきた時に……」 「早く分け前を渡せと騒ぐ者はいないの?」 「あそこでは相互監視制度をとっているの。分け前を早く使いたがる者や女が欲しくて暴れたりした者は処刑した。処刑者が増えると、生残りに分け前が増えるので、不満分子はみんな殺された」 「死体は?」 「機械で粉砕し、飼料に混ぜてブロイラーに食わせた。あそこでは三千羽の養鶏場も経営しているの」 「いま残っているのは?」 「二十人ほど」 「犯行に使った車はスクラップにしたのね?」 「…………」 「金は、工場のどこに隠してあるの?」 「本当に分け前をよこす気?」 「あんたの話が本当と分ったら」 「養鶏場の飼料倉庫の地下よ。飼料の袋の山をどかせたら、地下室への入り口があるわ」 「有難う……まず、町田スクラップが本当にあるかどうか確かめてみるわ。しばらく眠っていて」  恵美子は志麻の|頸動脈《けいどうみゃく》を手刀で強打して|昏《こん》|睡《すい》させた。ガウンと毛布で包み、肺炎を起させないようにする。  サイドワインダーを片手で構えながら二階に登った。スプロとの連絡用の無線ラジオがある|納《なん》|戸《ど》の前の部屋に来た時、急に疲れが深まったのを覚える。  スプロに報告する前に頭のなかで報告文を整理することにする。いまいる納戸の前の部屋は防音装置をつけた第二の居間で、小さなホーム・バーもついている。
表示ラベル: