ミュウミュウハートチャーム財布
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null どうして、あの口うるさい姉さんが昨日は僕が夕飯を作るのをやめさせたのか。  そんないくつかの疑問点が実像を結び、はっきりとした形を取る。  そんな会話をしながら、姉さんの二歩くらい後ろについて歩く。  姉さんは特にこちらを振り返ることもなく、淡々と歩いていた。 「あのさ、姉さん」  歩幅を広げて姉さんの隣に寄る。 「何ですか」  姉さんはこちらを向かずに返事をした。  いつもこんなつれない態度だから、つい誤《ご》解《かい》してしまったりする。  けど、そんな態度の裏で、実は色々なことを考えてくれている。  昨日喧嘩した時だってそうだ。今思い返せば、あの時姉さんは『アキくんが作る必要はありません』ということしか言っていなかったじゃないか。あれは僕の気《き》遣《づか》いを無視したわけじゃなくて、『私が用意するので貴方はテストで全力を出せるように頑張りなさい』っていう姉さんなりの気遣いだったんじゃないだろうか。あんな言い方をされたせいで誤解しちゃったけど、姉さんは姉さんなりに僕のことを心配してくれていたってわけだ。  そう思うと、なんだか無性に嬉しくなって、思わず笑みが溢《こぼ》れてしまった。 「……ははっ」 「? なんですか、アキくん。人を呼び止めておいて笑い出すなんて失礼ですね。何か言いたいことがあるんじゃないのですか?」  そんな僕を不思議そうに見る姉さん。 「あ、うん」